〇〇を変えたら商談が増えた。資料請求からの商談化率を上げる4つの改善とは?

「資料請求は来るけど、なかなか商談に繋がらない…」
そんな悩みを抱えている営業担当者やマーケターの方は多いのではないでしょうか。
僕たち株式会社Coneも以前は同じ課題を抱えていました。資料作成代行サービス「c-slide」や、BPOサービス比較サイト「b-pos」を運営している中で、リードは獲得できるものの商談化率が低いという状況が続いていたのです。
しかし、営業の仕組みを4つ変えただけで、リード数は変わらないのに商談数が大幅に増加しました。「リードの数が変わらないのに、商談の数が増えている」という明らかな変化を実感できたのです。
今回は、その具体的な方法を包み隠さずお伝えします。どれも今すぐ実践できる内容で、特に「追いかけ」や「フォーム改善」については、実際のメール文面やツールの画面もご紹介しながら解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてください。
方法1:サービス紹介資料を属性別に切り分けた
資料請求が発生した際に、リードに送付する資料を「サービス紹介資料」だけではなく、そのサービス紹介資料の中の詳細情報を切り出した資料も同時に送付するようにした。という改善です。
変更前の問題点
以前は50ページもある総合的なサービス紹介資料を一律で送っていました。この資料は、最初にサービスのコンセプトや実績を紹介し、料金や契約条件などの具体的な情報は後半に配置されていました。
しかし、お客様が本当に知りたい情報(料金や契約条件など)は資料の最後の方にあり、「欲しい情報までが遠い」状態になっていました。すぐに料金を知りたいと思っても、50ページもある資料を最後まで見なければならないのは、明らかにお客様にとって負担だったのです。
実施した改善策
50ページの大きな資料を、お客様の属性に応じて切り分けて送るように変更しました。
具体的には、従来の50ページの総合資料に加えて:
- 料金プラン資料:料金体系だけをまとめたシンプルな資料
- 契約条件資料:初期費用や契約期間などの取引条件をFAQ形式でまとめた資料

表紙とかもなく「料金プラン、初期費用、契約」といった、よくある質問の箇条書きのような形で、お客様が最も知りたい情報を即座に提供できるようにしました。
「メイン資料」と「情報羅列資料」を2つ送るようにした、というイメージです。
結果
資料追跡ツールで確認したところ、多くの人が「料金プラン資料」だけを見ていることが判明しました。「総合資料は見ていないけれど、料金条件だけ見ている人」が相当数いることが分かったのです。
結局、お客様が知りたいのは「そこ」だったということです。全体の資料は見られていなくても、お客様が知りたい部分だけを提供することで、商談数が明らかに増加しました。
ポイントとしては、お客様の属性や関心に応じてコンテンツを切り分けるだけ。特に料金情報は多くのお客様が最初に確認したい情報なので、アクセスしやすい形で提供することが重要です。
方法2:お役立ち資料を「事例資料」に変更した
資料作成代行サービス「c-slide」のリード獲得のために、お役立ち資料として「営業資料 作り方」などを設置していたところを、「営業資料作成実績」などの事例資料に内容を変更した、という改善です。
変更前の問題点
以前は「営業資料の作り方」などのノウハウ系ホワイトペーパーを記事の中に配置していました。Facebook広告などでよく見かける「○○のコツ」「○○のノウハウ」といった形式の資料です。
しかし、こうした資料をダウンロードする人は「自分で作りたい人」が多く、僕たちが提供している資料作成代行サービスの発注には繋がりませんでした。内製でやりたいからノウハウを求めているわけで、結局発注が来ないという状況だったのです。
実施した改善策
この問題を解決するために、以下のような大胆な変更を行いました:
ノウハウ資料は無料テンプレートとして開放
- 「営業資料の作り方」を知りたい人には、もうテンプレートを置いておくので自分で作ってください、という方針に変更
- ダウンロードボタンを押せば、誰でも無料でテンプレートをダウンロードできるようにしました

お役立ち資料を事例資料に完全変更
- 営業資料の記事には「営業資料の実績事例」
- 会社紹介資料の記事には「会社資料の実績事例」
- あくまでもc-slideのサービスで支援した事例を「それを知りたかったらダウンロードしてね」という形のお役立ち資料に変更

つまり、ノウハウではなく、自社サービスを活用した実際の事例に内容を切り替えたのです。
結果
この変更により:
- ダウンロード数:10件 → 5件(約半分に減少)
- 商談化率:0件 → 1〜2件(大幅改善)
ダウンロード数は減ったものの、商談化する確率が格段に向上しました。「ノウハウ資料の時は10件ダウンロードされて0件だった数が、5件ダウンロードされて1〜2件商談化になっている」という明確な改善が見られました。
「とりあえずお役立ちを作るんだ」というマーケターの考えは本当に良くないと思います。自社サービス導入に遠すぎる資料よりも、実際のサービス活用事例の方が商談に繋がりやすいのは明らかです。自社サービスの内容にテーマを少しずつずらして整えることが重要です。
方法3:追いかけ回数を大幅に増やした
資料請求が発生してから、営業担当からの”手動”のフォロー(商談打診)は2回のみでしたが、それを3〜4回に増やした、という改善です。
変更前の問題点
資料請求があった際の追いかけは、わずか3通のメールで終了していました:
- 自動返信メール
- 翌日の営業担当からのメール(「何かお手伝いできることはありますか」程度の内容)
- 商談打診メール
その後は基本的に放置状態でした。「追いかけられるのはうざい」という考えで、ほぼ何もしていませんでした。
しかし、よく考えてみると、資料請求は「まだ情報収集段階」や「他の企業と比較している段階」であることが多く、そんなにすぐに商談に入らないのは当然です。
実施した改善策
お客様の検討段階に応じて、段階的に情報提供する仕組みに変更しました。
重要な考え方は、「お客様が欲しい情報を収集できていたとすれば、その情報を送ってあげたらお客様は次の検討に進める」ということです。
新しい追いかけフローの具体例:
■ 1通目:自動返信メール(従来通り)
- 資料ダウンロードの確認と基本的な挨拶
■ 2通目:当日フォローメール(事例集・料金詳細)
フォーム項目で「直近で検討中」と確度が高いリードだと分かっているため、自動返信メールに加えて手動でフォローメールも当日中に送付。検討しやすいようにニーズに応じた事例集と、発注のイメージが湧くような料金詳細も説明。
実際のメール内容(抜粋):

■ 3通目:翌日フォローメール(納期について)
フォーム項目で「直近で検討中」とあったため、すぐに用意しなければならないのではないかという仮説で「納期についての説明」をメールにて送信。
実際のメール内容(抜粋):

■ 4通目:3通目から2日後(類似事例について)
「事例集を開くのが面倒なのか」「資料を全部ちゃんと見るのが面倒なのか」という仮説で、ピンポイントで事例を1つピックアップして送付。
実際のメール内容(抜粋):

前提として、もちろんリードの情報はしっかり調べる必要はあるものの、それが伝わらないと同じなので「貴社ほど規模は大きくないもの」など、見込み顧客のことを考えているとわかる文言も重要。
結果
4通目の具体的事例を送ったタイミングで、お客様から「資料を確認させていただきました。じゃあお願いします」という返信があり、商談獲得に成功しました。
ずっと何も送らずにいるよりも、しっかりと情報を提供した結果、お客様が検討に進めるようになったのです。面倒だというところをちゃんと後押ししてあげることが大事だということが分かりました。
追いかけを1回しかやっていないところは、ぜひ回数を増やしてみてください。ただし、しっかりと仮説を持って、その人たちの意思決定や「日程調整の話を聞きたいな」と思ってもらうための情報を提供しないといけません。そこを間違うと逆効果になってしまいます。
方法4:フォームを劇的に改善した
資料請求後のフローを整備するために「ヒアリングまで完了する」フォームに変更した、という改善です。
変更前の問題点
従来のフォームでは以下のような問題がありました:
- 資料はメールで送付:お客様がメールを開く手間があり、さらに迷惑メール扱いされるリスクもある
- 商談希望の場合の煩雑さ:資料を見て興味を持っても、再度別のフォームから申し込みが必要で、また同じ情報を入力しなければならない
- お客様の詳細なニーズが不明:なぜ商談予約しなかったのか、どんな情報が欲しいのかが分からない
実施した改善策
私たちが開発した「formmate」というツールを使って、フォーム送信後、すぐに資料が見れて、その場で予約もできる仕組みを構築しました。
formmateの主要機能
【1】フォーム作成
Googleフォームのような操作感でフォームの作成が可能。
【2】”自動”商談獲得
作成したフォームをサイトに埋め込み、見込み顧客がそのフォームを送信すると、サンクスページで日程調整ツールが表示されます。そこから見込み顧客が空き日程を選択すると、Web会議の予約とミーティングURLが発行され、自動での商談獲得を実現。
- 社内のエンジニアに依頼の必要なし・ノーコード、表示スピードも速い
- 回答項目に応じてポップアップ表示コンテンツの条件分岐が可能
- だれの日程調整ツールを表示するか / しないか
- どの資料コンテンツを表示するか / しないか
- どんなメールの文面を送信するか / しないか
【3】”自動”アンケート回収
さらに、商談予約後にヒアリングフォームがその場で表示され「営業担当の代わりに事前ヒアリングを実施」します。
- 回答項目に応じてどのヒアリングフォームを表示するか条件分岐設定が可能
- 日程調整完了・ヒアリング回答後、通常のサンクスページに追加情報の提供が可能
- 商談が入らなかった見込み顧客には「アンケートフォーム」で追客ヒントを回収
【商談がそのまま入った場合の画面】
=
【商談がそのまま入らなかった場合の画面】
結果
商談数が明らかに増加しました。
お客様にとっては:
- すぐに資料が見れるためテンションが上がる
- 興味を持った瞬間に行動できる
- 再度フォーム入力する手間がない
営業側にとっては:
- お客様の詳細なニーズが事前に分かる
- 適切なタイミングで適切な情報を提供できる
- 今まで「神の領域」だと思っていた、資料を見た後の行動を可視化・改善できる
今まではお客様がわざわざ×ボタンを押して資料を見て、営業担当からメールが来てもその返信をしないということが多かったのですが、アンケートで情報を回収できるようになったため、その1回のコミュニケーションがなくなり、効率が大幅に向上しました。
まとめ:小さな改善が大きな成果を生む
今回紹介した4つの方法は、どれも「お客様の立場に立って考える」ことから生まれた改善策です。
- 資料の切り分け:お客様が本当に知りたい情報(料金・契約条件)をすぐに提供
- 事例への変更:サービス導入により近い情報(実績・事例)を提供
- 追いかけの強化:検討に必要な情報を段階的に、仮説を持って提供
- フォームの改善:お客様の行動ハードルを下げ、営業効率を向上
重要なのは、お客様の検討プロセスを理解し、各段階で適切なサポートを提供することです。
特に「追いかけ」については、多くの企業で1〜2回程度しか実施していないのが現状だと思います。しかし、適切な情報を適切なタイミングで提供すれば、お客様は確実に検討を進めてくれます。
「フォーム改善」についても、従来は資料を見た後の行動が見えない「神の領域」でしたが、適切なツールを使えば可視化・改善が可能です。
ぜひあなたの営業活動でも、これらの方法を参考に改善に取り組んでみてください。小さな変更でも、積み重なれば大きな成果に繋がるはずです。最近とちょっと前を含めて、この4つの改善で確実に成果が出ていることを実感しています。