BtoB企業が用意するべき16の資料〜人の代わりに働くコンテンツ〜
今回は、過去850社以上のクライアントの資料を作成してきた、弊社の資料作成代行サービス「c-slide」がナレッジとして蓄積した16個のBtoBが用意するべき資料について解説します。
とはいえ、16個すべての資料を用意する必要はなく「たしかにこの資料は必要かも」といったなにかしたらのヒントになればと思っています。では、まずは前提のポイントから解説していきます。
BtoB企業が資料を作成する際のポイント
具体的な資料や使い方を紹介する前に、BtoB企業が資料コンテンツを作成する際のポイントや理解しておきたいことについて解説します。
脱属人化を図るためにフェーズごとに資料を用意
資料と言えば、営業資料や提案資料を思い浮かべるのではないでしょうか。16種類の資料が必要なのか疑問に思う方もいるかもしれません。なぜ資料が複数必要なのかを説明します。
例えば「営業」のシーンにおける資料を複数用意する理由は、
- 営業トークを改善するのは難しい
- 全員が同じように話せる・商談を進めていくのが難しい
からです。
一般的、初回商談で自社サービスの紹介をしたあとに、インサイドセールスが架電やメールで
「現在の検討状況はいかがでしょうか?」などの追いかけをすると思います。
米国のアドバイザリー会社であるシリウスディシジョンの調査では、一度接触した見込み顧客が離脱した場合、2年以内に80%が競合他社に流れてしまうという調査結果があるように、「追いかけ」や「ナーチャリング」が重要なことは明白です。
しかし、その追いかけ業務が属人化していて、各人の営業担当の追いかけ方式に依ってばらばらだったり、営業組織の標準化をしていて追いかけのタイミングや内容が統一化されていたとしても、トークのテンションなどで成果が変わってきてしまいます。
「営業トークを改善するのは、成果にばらつきが出てしまう」ということです。感覚でなんとなく理解できるのではないでしょうか。
そこで、追いかけ業務を、見込み顧客が「知りたい情報別に資料コンテンツを作成し、知りたいタイミングで送付する」ことで成果を標準化することができます。最適な情報を統一されたフォーマットで伝えることができるため、人による成果のブレや追いかけ漏れを防ぐことができます。
また、各見込み顧客に架電をするのと、資料を送付するだけでは、工数も大きく変わってきます。資料は人の代わりに見込み顧客に説明をしてくれる味方のようなものです。
実際に、Coneも商談後に「社内検討用資料」というものを送付するようになってから、比較検討の勝率が向上しています。
その「適切なコンテンツを、適切なタイミングで」見込み顧客に届けて成果を上げる、という考え方の元で、営業プロセスすべてのフェーズごとに必要な資料を揃えていくと、16の資料が必要になります。
各フェーズごとに目的があるため、それぞれのフェーズごとに役割が異なる資料コンテンツが素材します。
- マーケティング:リード獲得のための資料
- インサイドセールス:商談化のための資料
- フィールドセールス:受注のための資料
- カスタマーサクセス:契約継続・リピートのための資料
中でも、上記図の青くなっている資料コンテンツは最低限用意したいものになります。
資料を展開する順序=「コンテンツセールス」から始める
実際に資料を複数作成していくとなったときに、どれから作成するべきかがわからない場合も多いかもしれません。
Coneでは、以下のような考え方を意識して作成していきます。
- 「受注率」の改善
- 「商談化数」の増加
- 「リード獲得数」の増加
- 「契約継続・リピート獲得数」の増加
かんたんな例を上げると
1. 受注率の改善 | ・商談で使う、営業資料の改善 |
2. 商談化数の増加 | ・ダウンロードされる、サービス紹介資料の改善 ・リードに送付する、事例集の作成 |
3. リード獲得数の増加 | ・潜在リードを獲得する、ホワイトペーパーの作成 |
といった順番になります。
よくある失敗は、「とにかくホワイトペーパー・お役立ち資料を作成して、コンテンツ量を増やしたもののどう使えばいいのかわからない」というもの。
そもそもコンテンツを作成する目的の設定や施策の設計自体が良くないという可能性も考える必要がありますが、基本的には「顧客と会話できる部分」のコンテンツから取り組むことをおすすめします。
お役立ち資料などは、見えない多数の潜在層のニーズを推し量って、もしくは調査をしてコンテンツを作成していく必要があるため「リード獲得に効く」コンテンツが作成できるかどうかが難しいのです。
一方で、インサイドセールスが商談化のためにリードに送付する資料コンテンツなどは、フィールドセールスが見込み顧客やクライアントから得た「彼らが実際に知りたかったこと」をコンテンツ化することができます。
つまり、見えない多数の「潜在層」のニーズを想像するより、目の前の一人の「顕在層」のニーズを聞くだけで、目的を達成できる可能性の高いコンテンツを作成することができます。
その後、顕在層ニーズで作成した事例集などをお役立ち資料化することで、潜在層に対してのコンテンツに展開してくことができます。セールスに近いコンテンツ、からはじめて、マーケティングにコンテンツを活用する、という手順で資料コンテンツを作成していきましょう。
資料を展開する際のポイント
資料コンテンツを複数展開する際に気をつけないのは、保守や作成に工数が取られてしまい結局生産性が悪くなってしまうということ。
営業担当がそれぞれで資料を作成していると、フォーマットにばらつきがでてしまい、都度資料を作り直す必要が生じてしまいます。
資料のフォーマットを揃えることで、コピー&ペーストで資料を横展開でき、コンテンツの作成スピードが上がり、かつ誰でも同じようにコンテンツを作成することができます。
「ものすごい量のコンテンツを出してるけど、どうやってるの?」みたいな企業をたまに目にすると思いますが、あれはフォーマットを揃えて、だれでも良質で統一されたコンテンツを作成できるようにしているからです。
資料作成代行サービス「c-slide」では、資料フォーマットの統一化も支援していますので、お気軽にご相談ください。(c-slideサービスサイトはこちら)
1. マーケティング部が用意する資料
ここからは、具体的なそれぞれの資料について解説していきます。まずは、リードを獲得・育成するために、マーケティング部が用意する資料です。
- 1-1. サービス紹介資料
- 1-2. 事例ホワイトペーパー
- 1-3. お役立ち資料
- 1-4. ウェビナー資料
サービス紹介資料
まずマーケティング部が用意するのは、サービスページからダウンロードされるサービス紹介資料です。
サービス紹介資料は、サービス内容を記載しただけのパンフレットになってはいけません。このサービス紹介資料を軽視してはいけない理由としては「商談設定率を左右するから」です。
Webで情報収集するのが当たり前になった今、担当者は購買行動の60%以上を済ませてから企業に問い合わせをするという行動様式になってきています。つまり、このサービス紹介資料の内容如何で、商談で話を聞きたいかどうかの成果が変わってくるということ。検討するのに十分な情報を提供しましょう。
関連記事:
【受注率2.5倍】成果に繋がるサービス紹介資料の作り方(構成やデザインもすべて公開)
事例ホワイトペーパー
次に用意するべきはホワイトペーパー(お役立ち資料)ですが、ポイントとしては「受注に近いコンテンツ」から優先的に作成すること。「〇〇のノウハウ」などのテーマの資料をつくりがちですが、それがダウンロードされても、そこからナーチャリングなどの施策を中長期にわたって実施していく必要があります。
それよりもまず「事例集」や「競合との料金比較表」などのすでに検討している方向けに「検討していて、不安な部分が明確になるようなコンテンツ」を作成しましょう。
上記は、弊社クライアントの支援事例をホワイトペーパーにしたものです。c-slideでは、獲得したいターゲットに向けて特化した事例資料を作成していますが、ダウンロードする見込み顧客それぞれが自分ごと化できるように、複数の企業の事例を集めた事例集として作成するのをおすすめします。
関連記事:
【事例付き】ホワイトペーパーの種類別の活用方法(取り組む順番を解説)
お役立ち資料
顕在層向けの「事例集」や「料金表」がワークしてきたら、潜在層向けにお役立ち資料を作成していきます。
獲得したいターゲット層に向けて、コンテンツを作成していきます。ポイントは、見込み顧客から「他のお客さんとかそれどうやってやってるんですか?」と聞かれたことをテーマにすること。上記画像でいうと、マーケティング担当者の方に「他の企業はウェビナー資料の作成に手間取ってないんですか?」と聞かれた事実に対して『月1本ウェビナーを継続するための資料作成外注活用術』というテーマでお役立ち資料を作成しました。
上記画像の中では、左下のセールスイネーブルメントの資料が最もダウンロードされており、商談につながっていますが、商談で最も聞かれる&お問い合わせ時の要望で最も多いテーマとなっています。
ホワイトペーパーの作り方に関しては、以下記事で解説しています。
関連記事:
ホワイトペーパーの作り方5ステップと基本構成(テンプレート付)
ウェビナー資料
自社がウェビナー施策を実施しているなら自動的に準備する必要がある資料ですが、作成時のポイントとしては、ウェビナー終了後の配布資料が「満足感があるかどうか」と「CTAは適切に設置されているかどうか」です。
満足感があるか | あとで見返してもらえれば再度商談化する可能性 |
CTAは適切か | いきなり商談化ではなく、テーマによっては無料相談やデモ依頼などに設定する |
また、作成したウェビナー資料はホワイトペーパーにして配信することで、コンテンツの横展開・再利用が可能で、コストパフォーマンスが高くなるのでおすすめです。
関連記事:
ウェビナー資料の基本構成とデザイン作成の5ポイントを解説(テンプレ付)
2. インサイドセールス部が用意する資料
ここからは、リードを商談化するために、インサイドセールス部が用意する資料です。
- 2-1. サービス紹介資料(送付用)
- 2-2. 業界別・課題別 サービス紹介資料
- 2-3. 業界別・課題別 事例集
サービス紹介資料(送付用)
マーケティング部が用意するべき資料でも出てきたサービス紹介資料ですが、こちらはインサイドセールスが使用する資料です。
制作できるメンバーが限られている場合は、マーケティング部のダウンロード用の資料と同じものでも大丈夫ですが、余裕があれば「送付用」に調整されたサービス紹介資料を用意しましょう。
「送付用」とは、見込み顧客に都度カスタマイズした資料のことです。例えば、コンサル業界の担当者の資料請求CVが発生したら、事例ページをコンサル業界のものに変更したりして、見込み顧客用に調整したサービス紹介資料を送付します。
業界別・課題別 サービス紹介資料
上記の送付用のサービス紹介資料は、ダウンロード用のサービス紹介資料を少し調整したものになりますが、この「業界別・課題別 サービス紹介資料」は、構成からがっつりその業界・課題別に変更したもののことを指します。
【サービス紹介資料(送付用)の構成例】
- サービス概要
- 〇〇が解決する課題
- サービスの特徴
- 事例(コンサル業界の事例に変更)
【業界別 サービス紹介資料の構成例】
- サービス概要(コンサル業界用)
- コンサル業界における△△の課題
- コンサル業界業界における△△の原因
- 〇〇の解決方法(コンサル業界用)
- サービスの特徴
- コンサル業界の支援事例
上記のように、特定の顧客セグメントに特化した資料構成になります。(※ 利用方法や機能が多く解決策がイメージしづらいSaaSなどのプロダクトがこの資料を作成すると効果があります)
ただ、作成しても使わないといったケースも有り得るため、リード情報を多数保有していて、特定の業界やニーズのターゲットに絞り込んで顧客拡大したいといった営業戦略がある場合に着手することをおすすめします。
業界別・課題別 事例集
同様に、業界別・課題別に事例ページを蓄積していき、それをひとつにまとめた資料のことです。フォローする顧客の業界や課題に合わせて適切な事例集を送付することで、商談化が期待できます。
サービス紹介資料よりも、より検討に近い(スコアが高い)リードに送付するものになります。
3. フィールドセールス部が用意する資料
ここからは、受注するため・受注数を増やすために、フィールドセールス部が用意する資料です。
- 3-1. 営業資料
- 3-2. 商談後送付用資料
- 3-3. 潜在課題 事例資料
- 3-4. 業界別・課題別 営業資料
営業資料
商談中に見込み顧客に見せながらディスカッションする営業資料。その営業資料には大きく3つあります。
- アウトバウンド営業資料
- インバウンド営業資料
- 提案資料
【アウトバウンド営業資料】
未接点の企業にアプローチをして獲得した最初のアポイントで活用する営業資料。商談相手は自社商材への興味度合いや検討度合いが低い場合があるため、最初に「実績」や「会社概要」などの信頼性の高いページを用意したりする必要があります。
また「商談相手の課題を深堀り、自社サービスで解決できるかもしれない」と思ってもらうことが重要なので、通常のサービス紹介資料と比較して「課題を示唆するページ」や「ヒアリングを実施するページ」が必要になります。
関連記事:
営業資料の作り方と必須4ページ。構成やデザインも解説(テンプレート付)
【インバウンド営業資料】
サービスページからの問い合わせや資料請求から、アポイントが設定されたときに利用する資料。この資料が「ダウンロードしたサービス紹介資料と同じ」ものになっているケースをよく見ますが、それでは見込み顧客側に発見がありません。
せっかくアポイントが獲得できたのに「すでに知っていることだった」という商談になってしまい、受注できないという状況を防ぐためにも、ヒアリングに特化した構成にするようにしましょう。
関連記事:
全101ページにおよぶ、c-slideのインバウンド特化型営業資料を徹底解説
【提案資料】
最後に提案資料です。これは一次商談で受注にならない「リードタイムが長い商材」の場合必要になる資料です。上記アウトバウンド営業資料やインバウンド営業資料は「1対N」のどの見込み顧客に対しても同じ説明・ヒアリングをする資料でしたが、その一次商談でヒアリングした内容を踏まえて、提案内容を作り込み、その見込み顧客のために(1対1)持っていくための資料がこの提案資料です。
関連記事:
提案書の書き方を解説!伝わる構成やデザインもご紹介(テンプレート付)
商談後送付用資料
一次商談でも二次提案でも、その商談後すぐに送付し、見込み顧客側の社内稟議で活用してもらうための資料のことです。これも、営業資料と考え方は同じで、商談で活用した資料をそのまま送付してしまうと、発見がありません。
商談後送付用資料には、
- 商談で見込み顧客からもらった質問とその回答
- 商談中に話していたプランに絞ったシミュレーションや今後の進め方
- 見込み顧客に合わせた事例の追加
- 自社サービスを検討するにあたって必要な情報や知識の提供
などのページを、商談中に活用した資料に差し込んだものを送付しましょう。比較検討勝率の向上が期待できます。
潜在課題 事例資料
潜在課題 事例資料とは「今後、発生するかもしれない課題を示唆、解決策を提示」するための資料のことです。簡単にはアップセル・クロスセルのための資料ということ。
「この発注 or 契約後に、”おそらく”このような課題が出てくるので、弊社はこのような解決策を持っていますよ」ということを説明する資料になります。下図は「貴社と同じようなクライアントは、このような経路をたどって弊社を活用していますよ」と示したスライドです。
受注がほぼ確定していて、最後の確認段階だったり、他の決済者が商談に出てきた際などに活用することでアップセル・クロスセルが期待できます。
業界別・課題別 営業資料
こちらは、業界別・課題別 サービス紹介資料でも解説したのと同様、それの営業資料verです。通常の営業資料ではなく、業界や課題に応じて個別で資料を作成し、活用することで特定の業界・課題の受注率向上が期待できます。
4. カスタマーサクセス部が用意する資料
ここからは、契約継続(・リピート獲得)のために、カスタマーサクセス部が用意する資料です。
- 4-1. キックオフ資料
- 4-2. 定例MTG資料
- 4-3. 定点 振り返り資料
- 4-4. 継続提案資料
キックオフ資料
比較的リードタイムの長いBtoBビジネスでは、導入前後で担当者が異なる場合があるため、導入後に認識の「ズレ」が生じる可能性があります。キックオフミーティングで「認識のすり合わせ」「期待値の調整」「コミットメント向上」ができ、成果を出せば、単発商材ではリピート獲得、月額商材では解約率低下につながります。そのキックオフミーティングで利用するのがキックオフ資料。
- 導入の目的と現状について
- 推進体制の構築
- スケジュールの決定
などの決定事項をクライアントとともに決定し、ネクストアクションを決めて両社で実行していくことで「放ったらかし」状態を防ぐことができます。
定例MTG資料
月額サービスや、高単価SaaSなどのサポートとして実施する定例ミーティングの際に活用する資料。レポートの報告や、改善のためのディスカッションを記録していくために活用し、解約率の低下を図ります。
定点 振り返り資料
単発のサービスの場合の振り返り資料。一度納品してから「〇〇ヶ月後」等に日付を設定し、ミーティングを実施。数ヶ月後に共に成果を確認し合い、成果が出ていてクライアントの満足度が高ければ、このMTGと資料を起点に追加発注などが期待できます。
継続提案資料
最後に継続提案資料。前回まで(契約期間中)のプロジェクト内容を整理し、次回のプロジェクトの提案を実施するための資料。
単発のサービスの場合は、追加発注の営業資料という認識でさらなる提案をもっていくための資料。
高単価SaaSなどは契約期間の終了前にクライアントとMTGを設定し、これまでの成果数値の振り返りと更新以降の改善提案を持っていくための資料。クライアントに成果を再認識してもらい、今後のさらなる成果を期待してもらうことで、解約防止を図ります。
まとめ
BtoB企業が用意するべき16の資料は以上になりますが、どの資料から作れば良いのかとかも正直むずかしいかなと思います。
最初にもお伝えした通り、以下図解の青く色がついている資料は、より成果に近いものですので、そこから用意することをおすすめします。
資料作成代行サービス「c-slide」では、成果に直結する資料コンテンツの作成を支援しています。本記事で準備したい資料があれば、お気軽にご相談ください(c-slideサービスサイト)