ホワイトペーパーダウンロードで獲得したリードがほとんど商談化しない理由

弊社Coneは資料作成代行サービス「c-slide」を運営しており、たくさんのホワイトペーパー制作依頼が舞い込んできます。ただ、実はほとんどの企業が”ホワイトペーパーを成果(=商談=売上)に繋げられていない”という現状。
かくいう僕たちも最初はまったくと言っていいほどに意味のないホワイトペーパーを作り倒していました。「ホワイトペーパー」という言葉に惑わされすぎていたな、と今では反省しています。
そこで、本記事では「ホワイトペーパーをダウンロードする人の心理」と「じゃあ、どうすれば商談につながるホワイトペーパーをつくれるのか」という解決策を、僕たちの経験からお伝えできればと思います。
悲惨な実績から見えた真実
弊社Coneは「〇〇とは?初心者向けガイド」や「〇〇を効率化する方法」などの、いわゆる「ノウハウ系」と呼ばれるホワイトペーパーを作成し、同テーマのウェビナーも実施した経験があります。結果は悲惨でした。
実績:
- ホワイトペーパー:オーガニックで月10〜20件(多いときで50件)のダウンロード → 商談化0件
- ウェビナー:開催後3ヶ月で商談化1件のみ
当時は「とにかく見込み顧客のIDを取ることが重要」だと考えていました。そこからメール・架電でアプローチすれば何件かは商談につながるだろう、と。
しかし現実は厳しい。ホワイトペーパーDLリードにメルマガや商談打診を行っても商談が取れるどころか、メルマガの解除率が異常に高い結果に。平均0.1〜2%のところ、普通に5%という異常数字が出ていました。
アンケートで判明した衝撃の事実
「なぜこんなに商談化しないのか?」を調べるため、ホワイトペーパーダウンロード後に自動でアンケートを表示するようにしました。
アンケート内容: 「なにか弊社に次に行ってほしいアクションはありますか?」
選択肢:
- 〇〇についての情報を追加でほしい
- 〇〇のテンプレートがほしい
- 〇〇についてやり方がわからないのでオンラインMTGで相談したい
- サービスの導入も検討しているのでサービス資料がほしい
- 特になにもしなくていい
結果:
- 4割:特になにもしなくていい
- 2割:テンプレートがほしい
- 1割:追加情報がほしい
- 1割:オンラインMTGで相談したい
- 2割:回答なし
- 0割:サービス資料がほしい
つまり、「〇〇とは?」や「〇〇ガイド」などのノウハウ系ホワイトペーパーをダウンロードする人は、まだサービス導入を検討していない。それどころか、もしかするとサービスを知らない・興味がない可能性が高いということです。
「サービスリード」と「コンテンツリード」の違い
弊社では、少しでもサービスに興味があってフォーム入力してくれたリードを「サービスリード」、コンテンツが知りたい・解決策が知りたくてフォーム入力したリードを「コンテンツリード」と呼んでいます。

多くの企業が集めているのは「コンテンツリード」。彼らは「知りたいことがあったからダウンロードしただけ」であり、サービスに興味があるわけではありません。
サービスに興味がないのに、常にサービス案内や商談打診のメールが届くのは嫌ですよね。普通に僕自身も嫌です。嫌いです。だから商談につながらない。
もうちょっと心から理解できるように例を見てみましょう。たとえば、最近耳にタコができるくらい話題の生成AIをテーマに。
【一瞬で営業資料ができあがるプロンプト】という資料をダウンロードしたとして、「よっしゃ!プロンプトありがとう!いったん作ってみるぜ!明日から仕事楽になるかもワクワク」となっているところに、資料作成代行会社から「営業資料の発注を検討していませんか?」とメールが来ても、「は?だまれや、とりあえずAIでつくらせんかいタコ」と思いますよね。
要するに「だれもあなたのサービスに興味なんかない」ということ。だから、コンテンツリードとして獲得したリードは、すぐに商談化しないし、するとしてもかなり長期。
施策の転換:事例資料への切り替え
気づきを得た後、ノウハウ系のホワイトペーパーは作らないと決めました。
同じ内容でもテーマと切り口をずらして「サービス情報が掲載されているとわかった状態」でダウンロードしてもらえれば、サービスを知っている・興味が少しでもある状態で始められます。
具体的な変更例:
- Before:「〇〇とは?」(ノウハウ・解説のみ)
- After:「〇〇社が実践した〇〇とは?」(事例資料)
こうすることで「そもそもサービス導入が前提のホワイトペーパー」になります。つまり、呼び名はホワイトペーパーかもしれないけれども、実態は切り口別のサービス紹介資料や事例資料。
そのサービス情報をメインに含んだホワイトペーパーに変更したら、
結果:
- ダウンロード数:10件未満(大幅減少)
- 商談化:2〜3件(0件から大幅改善)
と、ダウンロード数は減ったものの、商談が獲得できるようになりました。もともと、ホワイトペーパーから商談が1件もとれていなかった我々からすると、クララ起立くらいの衝撃でしたね。
多くの企業が、この法則に気づかずコンテンツリードを集めることに躍起になるのは、The Modelの弊害が大きいと考えています。
営業プロセスをマーケティング・インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスに分け、マーケターは「リード数」をKPIとする。しかし、どんなリードを集めるべきかがわかっていないため、こういう事態に陥ってしまいます。
「ナーチャリング」という幻想
クライアントにこの話をすると、かなり納得してもらえます。コールドリード・ホットリードという概念は知っていても、「サービスリード」「コンテンツリード」という考え方はなかったと言われることが多い。
みなさん、感覚的にコンテンツリードはサービスに興味がないということは理解しています。しかし「ナーチャリング」「スコアリング」という言葉の幻想に騙されてしまう。
「リードを獲得してとりあえずメルマガを送付すれば、いつかは商談化するだろう」と考えるのですが、しません。
大量にコンテンツリードを取って、メルマガで「サービスの情報」を流してクリックを測る。しかし、メルマガでサービス情報ばかりをコンテンツリードに送付していると確実に購読解除が増えます。コンテンツリードは「知りたいことがあったからダウンロードしただけ」だから。
この転換は非常に難しい。それ故、弊社はコンテンツリードは取らないと決めています。
さいごに
ホワイトペーパーを作るなら、ノウハウ系ではなく事例資料にしましょう。獲得できるサービスリードに限界が来てしまったという企業だけが、コンテンツリードに手を出す権利を有しているのです。
つまりは、メガベンチャーだったり大手企業だけです。当然、サービスリードを獲得するようなテーマよりも、コンテンツリードを獲得するようなテーマのホワイトペーパーのほうが「圧倒的多数の見込み顧客にリーチする」ことができます。
そして、そのコンテンツリードのプールを「育てる」のではなく、「定期的に連絡を取る」ことでサービスリードに転換していく。1〜3年くらいかかります。0.1%かもしれません。だとするなら、10,000のコンテンツリードプールでも、10件です。
僕たちみたいな企業やその他世の中の90%の企業にとって有効だとは思えません。
重要なのはリード数ではなく商談数、受注数です。サービスを中心にしたホワイトペーパーを作成しましょう。ダウンロード数は減りますが、商談化率は大幅に改善します。
「リード数」というKPIに惑わされず、「サービスに興味を持ってもらえそうなテーマづくり」に奮闘しましょう、とこれからも伝え続けようと思います。
PR:ホワイトペーパーつくりたい!って方はc-slideに相談してねっ
あと、佐藤のTwitterも見てくれるとうれしいよ、じゃあ、Bye!