営業資料の”脱メタボ”。定期的にやるべきメンテナンス法

湯淺 春樹

COO / デザイナー / セールス 湯淺 春樹

こんにちは!株式会社Coneの湯浅(@yuabin_cone)です。タイトルに「メタボ」と書かれていますが、今日は営業資料についてお話をしていきます。

ぼくたち株式会社Coneは、資料作成代行サービス「c-slide」を運営していて、多くの企業の営業資料作成を支援しています。営業資料改善の依頼をいただく企業のご相談内容の多くは「営業資料を作ったものの、使っているうちに、わかりづらい資料になってしまった、、」というものです。

”営業資料の作り方”についてのノウハウはいろんな企業が発信されていると思いますが、”営業資料の改善方法”については、あまり語られることがないですよね。事実、一度営業資料を作成した後の半年後、1年後に営業資料改善・刷新のご相談をいただくことも多々あります。

本記事では、多くの企業の営業資料作成を支援してきた中で培ったぼくらの”営業資料の考え方”、実際に社内で営業資料を46ページから26ページまで削って受注率を回復させた経験をもとに、あまり触れられることのない「営業資料のメンテナンス方法」についてご紹介できればと思います。

目次

営業資料が「メタボ」になる理由

  • 受注率が下がってきた!まずい!営業資料を作ろう!
  • 営業メンバーが増えて成果が不安定になってきた!営業資料で属人化を脱するぞ!

と、満を持して作った営業資料。何十万円と費用をかけて、支援会社にサポートしてもらいながら作って一時的な効果はあったものの、気づけば作成から半年、1年が過ぎて受注率が頭打ちに、、という企業、営業マネージャーの方も多いのではないでしょうか。

なぜこのような事象が起こるのかというと、営業資料に過剰な栄養を与えすぎて”営業資料がメタボ”になってしまっているからです。ここでいう栄養は情報。要するに、情報を詰め込みすぎて50ページ、100ページに及ぶ営業資料になってしまってるということです。

現場の善意が生む”情報メタボ”

営業資料がメタボになってしまう最大の原因は、営業担当の「お客さんに対する善意」にあります。

例えば、月に商談を50回しているとしましょう。このうち、10人のお客さんから「○○の活用方法について教えて」と質問されたとします。営業担当は親切心から「よし、この質問に答えられるページを追加しよう」と考えます。

しかし、このページは残り40人のお客さんには不要な情報です。こうした「善意の追加」が積み重なり、営業資料は情報メタボ状態になってしまいます。

「説明しなければ」というプレッシャー

こうして”メタボ化”していく営業資料を日々見ていても、太っていることに正直気づきません。社会人になって太っていく人も多いと思いますが、社会人3年目くらいまでは気づきませんよね?4年目、5年目くらいで急に太ったように感じる。なのに、久々に会った旧友には「太った?」と無神経な言葉を投げられるものです。

話が逸れてしまいましたが、営業資料も同じように日々使っていると”情報メタボ化”していることにはなかなか気づけません。

にも関わらず、資料が太るほど、営業担当者は「すべてを説明しなければ!」というプレッシャーを感じるようになります。結果的に、本来時間をかけるべきヒアリングや対話の時間が削られ、一方的な説明に終始してしまいます。

これが「営業資料がメタボになる」理由であり、同じ営業資料を使い続けていると受注率が低下してしまう大きな要因となっているのです。

どうやってスリムにしていくのか?

ここまで読み進めていただいている方は、「たしかに最近太ってきたな、、」「最初はよかったのに最近は受注率頭打ちになってるな、、」と感じていただいている方かと思います。安心していただきたいのは、”営業資料のメンテナンス”は至ってシンプルです。営業メンバーが少ない場合は1~2日程度でできる内容になっています。

営業資料をスリムにして脱メタボを実現するために、月末 or 月初に月1回、以下のメンテナンスを行うようにしましょう。

  1. 現場メンバーの活用状況をモニタリング
  2. 不要な情報・ページを思い切ってなくす
  3. 「アーカイブファイル」に貯めていく

1. 現場メンバーの活用状況をモニタリング

営業資料がメタボになる理由で説明した通り、太る要因は、現場メンバーの善意や不安による「思い込み」です。現場メンバーに「この情報いらなくない?」と聞いても、「いや、たまに説明するお客さんもいます。」と回答が返ってくるでしょう。

直接お客さんと対峙しているメンバーは自分がこの情報をどれくらい活用しているか、を明確には把握できていません。そのため、マネージャーが商談同席や商談録画を見て、活用状況をモニタリングすることで使っている情報・使っていない情報を明確にすることが必要になります。

ぼくらは「ACES Meet」という文字起こしツールを活用しています

営業は1人でやってます!という方は、自分自身で商談録画を振り返ってみてもいいですし、部署関係なく他のメンバーに依頼してみてもいいと思います。(実際、ぼくが1人で営業をしていた頃は代表の佐藤に見てもらっていました。)

2. 不要な情報・ページを思い切ってなくす

ここが最も重要なステップになります。スリムにするには不要な情報をなくす必要があるため、モニタリングで把握した不要な情報は思い切って削除してしまって問題ないです。基準としては、活用状況が商談全体の4割程度のページは削除して問題ありません。(肌感覚でOK)

加えて、「話していても、先方が求めていない情報」も存在するはずです。モニタリングする方の自己判断にはなりますが、これらの情報・ページも思い切って削除してしまって問題ないです。これで「説明しなければ」というプレッシャーから、説明が冗長的になることを防ぐことができます。

3. 「アーカイブファイル」に貯めていく

最後は「削除したページをアーカイブファイルに貯めていく」ようにしましょう。不要な情報・ページだったとしても、現場メンバーは必要だと感じて追加しているページがほとんどです。この情報を完全になくしてしまうと、いざというときに説明ができず、かえって受注率が悪くなる可能性もあります。

運用方法としては以下のイメージ。

  1. 削除予定ページを「アーカイブファイル」にコピー&ペースト
  2. ファイル名は「営業資料_補足_○○について」など分かりやすく命名
  3. 事前アンケートで必要性が分かった場合のみ、メイン資料にコピー&ペースト
  4. 商談中に質問された場合は、保管ボックスから該当ファイルを表示
c-slideでご支援した、Chatworkストレージテクノロジーズさんの事例

実際、ぼくらが使っているアーカイブファイルから取り出して営業で使うのは3か月で2ページ程度です。つまり、90%以上のページは「念のため取っておく」だけで、実際には不要だったということになります。

【事例】46P→26Pにするのに何を削ったのか?

ぼくらが運営しているBPOサービス比較サイト「b-pos」では、46ページの営業資料を26ページまで削減して、受注率を1.5倍近く改善することができました。では、どのページを削ったのか?内訳は以下です。

Before:全46ページ
  • 他比較サイトとの違い:11ページ削除
  • ご提供内容について:10ページ削除(中扉含む)

合計21ページの削除を行い、新規で1ページを追加したため、46ページから26ページへとスリムにすることができました。

After:全26ページ

商談をモニタリングして気付いたこととしては、以下。

  • 冒頭で話した内容が後半で先方から質問される事が多く、ほとんど聞かれていない
  • 一度資料で説明した内容を、もう一度実際の画面を見ながら話をしている

これらによって「本当に伝えたい情報が伝わっていない」「先方との対話が少なく、ニーズに合った提案ができていない」という状態に陥ってしまっていました。

なので、冒頭説明の大半を占める「他比較サイトとの違い」や説明が重複している「ご提供内容について」を思い切って削除。1ページ追加で「実際の画面を見ながら説明します!」というページを挿入し、対話のバランスと飽きないテンポ感を意識した資料に改善を行いました。

結果的に、20%弱まで落ち込んでいた受注率を30%超えまで回復することができています。

ちなみに、今回削除した情報・ページは「他比較サイトとの違い説明用」として以下のようにアーカイブファイルに貯めています。

「他比較サイトとの違い説明用」アーカイブファイル

まとめ:営業資料は作って終わりじゃない

営業資料の新規作成や刷新は、組織が大きければ大きいほどハードルは高くなり、完成した達成感から「これで改善できる!」と思ってしまいがちです。ただ、継続的に成果に繋げ続けるには定期的なメンテンスが必要になります。メタボにならないように体調管理に気をつけるのと同じです。

本記事で話した内容を、今日から実践できる3つのアクションとしてまとめました。

①月1回の「営業資料健診」をカレンダーに入れる 月末または月初に、営業資料の活用状況をチェックする時間を確保
②4割未満使用ルールで削除する勇気を持つ 商談全体の4割未満しか使われていないページは、思い切って削除
③アーカイブファイルで安心して削除 完全に捨てるのではなく、アーカイブファイルに保存

営業資料の脱メタボは、受注率向上だけでなく、営業担当者が本来集中すべきヒアリングや対話の時間を確保することにもつながります。まずは今月から営業資料の定期メンテンスを始めてみてください。

「メンテンスしてみたけどやり方がわからない」「そもそも元の営業資料に納得できていない」という方は、ぼくらが運営しているc-slideにお気軽にご相談ください!

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