資料作成代行会社の、会社説明資料リニューアルの裏側
こんにちは。株式会社Coneの湯淺です。実は先日、約2年半ほど放置状態だった会社紹介資料を刷新しました。
ぼくらはとても小さい組織なので2年半もあれば会社の方針も、事業の内容も大きく変わります。代表の佐藤と2人で「いつか会社紹介資料、リニューアルしよな!」と話をしていたものの、気づけばはや2年、、
2025年10月末にコーポレートサイトをリニューアルをしたので、今だ!と思い今回の会社説明資料リニューアルに踏み切りました。
ぼくらは資料作成代行サービス「c-slide」を運営していて、業界や企業規模問わず多くの企業から会社紹介資料、採用ピッチ資料などのリニューアルの相談をいただくことが多々あります。その企業ならではの魅力発見や資料への落とし込みをサポートさせてもらっています。
このリニューアルを機により多くの企業が自社の魅力やユニークポイントを伝えることのできる効果的な会社説明資料を作れるようになれればいいなという思いから、リニューアルのポイントや実施フローについて実例を交えて解説していきたいと思います。
以下がリニューアルした会社説明資料です。資料作成の支援で培ったノウハウを存分に詰めた、楽しく読み進められる資料になってます。ぜひ一度、目を通してから読み進めてみてください!
資料リニューアルの背景と狙い
資料リニューアルの理由は「情報が古くなったから」という側面もありますが、一番は「Small up」という企業の在り方をより多くの方に知ってほしいという理由です。

ぼくら株式会社Coneは、メンバー7名全員が”誰かの友だち”だったり、MVVは設定せず”原動力”だけを掲げていたり、ユニークな会社方針がありながらも、展開する5つの事業では累計1,500社以上の企業の支援をしています。
直接お話をするお客さんからは「Small upという考え方に共感した」「入社したいけど、友だちしか採用していないのか(笑)」など、うれしいお言葉をかけてもらえることが多くあるんですが、とにかく会社としての知名度が著しく低い、、(笑)
ということで、スモールビジネスでも、スタートアップでもない、「Small up企業」という在り方を、”資料”というぼくらの武器を通して多くの人に知ってほしいという想いでリニューアルに至りました。
工夫したポイント
多くの企業が会社紹介資料を公開している昨今、普通の資料を作るだけでは多くの人には届かないだろうと、リニューアルにあたって3つのポイントを工夫してみました。
- 読んでいて飽きない資料にする
- 事業・サービスよりも、”哲学”を重視
- 会社の雰囲気が伝わるデザイントンマナに
読んでいて飽きない資料にする
日頃から、他社の会社紹介資料・採用ピッチ資料に目を通すことが多いんですが、多くの資料は途中で飽きてしまうんですよね。情報量が多くて読むのがしんどかったり、似たりよったりの構成が多くて資料を見ててもワクワクしなかったり。
これだと本末転倒。ぼくらの想いを資料に起こしても、株式会社Coneを好きになってもらうことは到底できないと思い、資料ではなく”絵本”のようにサクサク読めて情報もしっかりと伝わるコンテンツを目指すことにしました。
実際、公開した後にうれしいお声もいただいているので、この点はしっかりと達成できたと感じています。
事業・サービスよりも、”哲学”を重視
ぼくらは「Small up Company」という原動力のほかに、14個の哲学を掲げています。これら14個の哲学の集合体によって「Small up」という概念が形成されているイメージです。
一般的な会社紹介資料は、営業場面や採用場面での活用を目的に作成することが多いので、展開している事業やサービスに重きをおくことケースが多いです。ただ、ぼくらのリニューアルの目的は「Small up」という概念を多くの人に知ってもらうこと。
なので、事業やサービスにフォーカスした資料ではなく、”哲学”を重視した資料にすることを決めました。実際、資料の冒頭20ページ近くを使って哲学についての説明を行っています。

会社の雰囲気が伝わるデザイントンマナに
リニューアル前までの会社紹介資料は、スタイリッシュなトンマナでデザインをしていました。メインカラーはブラックで、ページ全体・文字の余白、テキストサイズなどにこだわってとにかくかっこいい資料!ってイメージ。

ただ今回のリニューアルの目的である「Small upという概念を知ってもらう」を達成するには、Coneという会社全体の雰囲気を知ってもらい、ビジュアルとともに概念を知ってもらうことが重要だと考え、デザイントンマナを大きく変更しました。

フォントは、ポップなイメージを与えられる「Noto Sans JP」を使い、余白も前回より少ないフォーマットを用いています。図解では絵文字を使ってみたり、メンバーの楽しそうな雰囲気が伝わるように集合写真などの素材を各所に使うデザインにしたり。
資料作成は表層的なデザインよりも情報設計が大事、と考えているものの、情報を伝える補助的な役割としてデザインも重要。同じ情報でもトンマナひとつで伝わり方は変わるため、デザイントンマナにはかなりこだわりました。
実際の資料リニューアルのステップ
ここから、実際にどのようなステップで資料をリニューアルしていったかを紹介していければとおもいます。実例を交えながら各ステップを紹介しているので、ぜひ参考にしてください!
- リニューアルの目的を整理
- 重要キーワードの洗い出し
- デザインの方向性を決める
- 構成のストーリーを作る
- デザイン着手
①リニューアルの目的を整理
会社説明資料に限らずですが、まずは「目的」を整理することが超重要。ここがブレてしまうと構成もデザインも軸がなくなり、誰にも刺さらない資料になってしまいます。そうならないよう、ぼくらはリニューアルの目的を以下のように整理しました。
会社説明資料作成の目的
- Coneという会社がどんな会社かを知ってもらうきっかけ作り
- 採用や事業に繋がらなくてもいい、「面白そうな会社」と思ってもらえるだけでいい

目的をがちがちに固めてしまうと、思考が凝り固まってしまうので、この段階ではざっくりでOK。作成途中に最終ゴールを見失うことさえ防ぐことができれば問題なしです。
目的を整理することで、作成時にどんなポイントを抑えるべきかの整理にも繋がるため、この時点で先程解説した工夫ポイントを設定することができていました。
②重要キーワードの洗い出し
自社の特徴が反映された資料を作るには、このステップが一番重要。
この作業を挟まずに「他社の資料を参考にしよーーーっと。」と構成を作ってしまうと、自社のユニークさが表現されない、似たりよったりのありきたりな資料が出来上がってしまうんですよね、、
そうならないよう、自社の魅力、ユニークポイントの整理のために自社を表現するキーワードをとにかく洗い出しました。
【実例】重要キーワード
- Small up
- 14個の哲学
- 友達7人
- 1,500社以上を支援
- 友だち採用
- 自社で実施して成果に繋がったノウハウのみを提供
- インバウンド100%(お客さんに来てもらう)
- おふざけYouTube
- ノウハウは余すことなく発信・共有
- メディア20万PV
- 仕組みができているのでスキル採用でなくても成果が上がる
- 月1回の焼肉
ぼくらは上記のようなキーワードをとにかく洗い出しました。実際ここで出したキーワードは、表現を変えつつもほとんどを資料内に入れ込んでいます。


③デザインの方向性を決める
キーワードの洗い出しが終われば、構成作成の前にデザインの方向性を定めました。
イチからデザインを考えるのはとてつもなく難しいので、参考になる資料デザインを探していきます。いろんな資料を見ながらインスピレーションを得て、自身の頭の中にあるなんとなくのイメージを具体化していきます。
ぼくらは参考デザイン探しで「Slideland」を使っています。スライドを探すだけでなく、「会社概要」「メンバー紹介」などのページからでも、「ブルー」「イエロー」などのカラーからで探すことができるのがめちゃ便利。デザイン制作時も重宝してるサイトです。

手当たり次第に目を通すのもいいんですが、限られた時間の中ですべての資料を見るのは現実的ではないですよね。効率的に参考デザインを探すために、デザインの条件を整理していました。
【実例】参考デザインの条件
- 各ページの情報量が少なく、見た瞬間にページ情報を理解できる
- 社内の写真や画像を使いながらの、ポップな印象を受けるデザイン
これらの条件をもとに探して、株式会社スムーズさんの会社紹介資料発見。スムーズさんの資料はワンスライドワンメッセージを徹底し、ワンメッセージをタイトルに挿入するフォーマットで作成されていたので、1つ目の条件である「各ページの情報量が少なく、見た瞬間にページ情報を理解できる」ことができている資料でした。

また表紙や中扉を始め、各ページで写真を挿入してデザインされていたため、受ける印象もポップで2つ目の条件にも当てはまっていた、という感じです。
実際に、スムーズさんのワンメッセージの徹底やタイトルの使い方は参考にさせてもらいながら資料は作っていきました。

④構成を固める
構成作成はデザインの方向性が定めてから取り掛かりました。情報をきれいにまとめながら構成を作れるよう、以下フローで実施しました。
- 絶対に入れるべき情報を整理する
- 重要キーワードでストーリーを作る
- ①と②を掛け合わせて整地する
絶対に入れるべき情報を整理する
「会社を知ってもらうきっかけ作り」のために作成しているのに、読んでも何やってる会社なのかわからない、、という事態になると元も子もないので、構成を作る前に絶対に入れたい情報の整理をしました。
【実例】ゼッタイ挿入情報
- 資料の作成背景
- 事業の全体像
- 各事業、各サービスの紹介
- 累計支援実績
- 働くメンバーの声
- ユニークな制度(福利厚生)
- 採用ページへの導線
- 会社が目指しているゴール
すべてイチから考えることもできますが、かなり時間がかかってしまうので、ClaudeやChatGPTを活用したり、他社の資料を見ながら整理をしていきます。
重要キーワードでストーリーを作る
次に、構成の”軸”を作るために重要キーワードでストーリーを作っていきました。洗い出したキーワードごとの繋がりを整理していくイメージです。堅苦しく考えず、誰かに会社の説明をする気持ちで話し口調で書き出していくと簡単に繋がりを整理することができます。
【実例】重要キーワードの繋がり
- ConeにはMVVがありません
- その代わりに「原動力」と「哲学」を掲げていて、
- Small up Companyを原動力に、14個の哲学があります
- 14個の哲学はこんな感じで
- その中には「友だち採用」というものがあります
- 友だち同士で働くからこそ、楽しく働ける環境も作っています
- ただ楽しく働くだけじゃなくて、事業もちゃんと運営してるんですよ
- こんな事業を展開していて、こんな企業も支援してます
- なんでこんなに支援実績があるのかというと、
- 自社で成果に繋がった施策を事業化してるからなんです
⋮
すべて書き出すとキリがないのでここまで。このくらいざっくり繋がりを整理できればOKです。
①と②を掛け合わせて整地する
さいごは、②で作った繋がり(=ストーリー)の中にゼッタイ挿入情報を織り交ぜていきました。
- 表紙
- 資料の作成背景(ゼッタイ挿入情報)
- 原動力と哲学の紹介(重要キーワード)
- 14個の哲学(重要キーワード)
- ユニークな制度(ゼッタイ挿入情報)
- 働くメンバーの声(ゼッタイ挿入情報)
- 事業紹介(ゼッタイ挿入情報)
- 累計1,500社以上を支援(重要キーワード)
⋮
という感じ。②で作ったストーリーを軸に、情報の訴求力を高めるためにどんな情報を入れるべきか、を考えると織り交ぜやすくなります。
これにて構成作成は完了!あとはデザインを作るだけです。
⑤デザイン制作
デザイン制作時のポイントは無数にあります。使うカラーを絞ろう、図解の挿入場所を定めよう、などなど。ここでは解説しきれないので、ぼくらが資料を作る上で絶対に守っているデザインルールを記事で解説しています。デザイン作成の基本を知りたい方はご一読ください!
【見やすいパワポを作るためのデザインのコツ全26則。資料作成代行会社のマニュアル大公開】
https://cone-c-slide.com/see-sla/blog/ppt-designrule/
基本ルールを抑えたうえでのデザインの作成ポイントは、各ページで参考デザインを見つけることです。すべてを丸パクリするのはNGですが、要素を抽出するために参考にするのはとても効果的。
先程紹介したSlidelandを使って、各ページのイメージに近いデザインを探しました。重要なのは、デザインの方向性を決めるときと同様にデザインの軸を持っておくことです。
例えば事業紹介ページの場合、各サービスの実際の制作物やモック画像を用いてデザインする、という軸をもとに参考デザインを探しました。株式会社Mobile Order Labさんの事業紹介ページを見つけて、モック画像の挿入方法を参考にさせていただきました。


1つのデザインだけを参考にするのではなく、複数の参考デザインを組み合わせてみるものおすすめ。メンバーの声ページでは、メンバーの写真を使いつつ、「声感」が出るデザインにしたかったため、以下2つのデザインを参考にしました。


参考になる部分のみを抽出して作ったデザインがこちら。

このように、ステップ②で定めたデザインの方向性に合う参考デザインをページごとに見つけることができれば、納得のいくデザインを作れるはずです。
“資料の届け方”も超重要
これらのステップをもとにリニューアルを行い、納得のいく資料は完成できました。とはいえ、目的は「会社のことを知ってもらうきっかけ作り」なので、誰にも届かなければ達成できません。作成した資料は「誰に届けたいか」を明確にして活用することが重要です。
ぼくらは、「Coneという会社を知らない」方に届ける必要があるため、自社で開発した「c-slide lib」という無料で使えるスライドシェアサービスに掲載し、SNSでの発信を行いました。(冒頭に埋め込んでいる資料もc-slide libでアップロードしたものです)
c-slide libは資料の掲載だけではなく、資料閲覧画面右側に「お問い合わせフォーム」の埋め込みが無料でできるため、「コンテンツ制作のご相談はこちら」と、資料を見た後に行動に移せる導線を確保しています。

お問い合わせが発生しても費用発生は一切なし。無料でお使いいただけるので、ぜひみなさんの資料もc-slide libにアップロードしてみてください!Speaker Deckやドクセルなど、複数のスライドシェアサービスと合わせてバイラル的に活用してみてもいいかと思います。
まとめ
本記事では、約2年半ぶりにリニューアルをした会社説明資料の狙いや作成ステップについて解説しました。
【リニューアルの狙い】
- Coneという会社を少しでも多くの方が知るきっかけ作り
- 「Small up企業」という概念を少しでも広めたい
【工夫したポイント】
- 読んでいて飽きない資料にする
- 事業・サービスよりも、”哲学”を重視
- 会社の雰囲気が伝わるデザイントンマナに
【リニューアルの実施ステップ】
| ①リニューアルの目的を整理 | 何のために資料を作るかをざっくり定める |
| ②重要キーワードの洗い出し | 自社の特徴やユニークさが表現されているキーワードを洗い出す |
| ③デザインの方向性を決める | デザインの軸を持って、公開されている資料を見漁る |
| ④構成のストーリーを作る | 誰かに話しをするイメージで、情報の繋がりを整理する |
| ⑤デザイン着手 | 各ページのデザインの軸を持って、参考になるデザインを探す |
「資料を刷新したいけど、納得のいく資料を作れない」という方はぜひ、本記事を参考にリニューアルをしてみてください。「作ってみたけどうまく作れなかった、、!」という方は、資料作成代行サービス「c-slide」へいつでもご相談ください!
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